一般病院・診療所、コロナ補助で黒字 22年度厚労省調査
厚生労働省は24日、医療機関の経営状況を調べた「医療経済実態調査」を公表した。一般病院は収入から支出を引いて算出する損益率が2022年度に1.4%の黒字だった。水道光熱費などを含む経費が前年度比で11.9%増えたが、新型コロナウイルス対策の病床確保料などの補助金の効果が大きかった。
補助金を除くと6.7%の赤字だった。新型コロナウイルスによる受診控えの影響があった20年度は6.9%の赤字で、22年度も同水準だった。
コロナ対策の支援は23年度から縮小している。厚労省は23年度には物価高騰などの影響で損益率がマイナス10.3%になると予測した。
診療所の22年度の損益率は新型コロナの補助金を含めると13.4%の黒字だった。新型コロナの報酬特例やワクチン接種などが収益を押し上げた。
2024年度の診療報酬改定を巡っては、医療界が物価高騰や賃上げを背景に大幅なプラス改定を求めている。財務省は独自調査の結果、22年度の診療所の経常利益率は平均で8.8%としている。中小企業平均の3%超より高いとしてマイナス改定を訴えている。
武見敬三厚生労働相は24日の閣議後の記者会見で、診療所の利益率について「新型コロナの特例(的な財政支援)の影響を除いた22年度までの3年間の平均は、コロナ前3年間の平均を下回っている」と述べた。
コロナ禍で医療機関の収益が増えたとの指摘を巡り「医療関係者の献身的なコロナ対応を国としても財政支援してきた経緯を踏まえる必要がある」との認識を示した。
医療経済実態調査は厚労省が24日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に報告した。調査は医療サービスや薬の公定価格である診療報酬を改定する際の基礎資料の一つとなる。