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春秋(11月20日)
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敗色が日増しに濃くなる太平洋戦争末期、後に作家となる青年、堀田善衛は「方丈記」を古典ではなく経験として読んだ、と名著「方丈記私記」に記している。東京大空襲に焼かれ灰となった町と人の風景が、平安末期の乱世の記録と重なり、激しく心を揺さぶられた。
▼うち続く火事、戦乱、飢饉(ききん)。鴨長明が生きた京都はまさに世の末。とりわけ2年続いた養和大飢饉ではおびただしい死者が出た。その地獄絵図のなかを歩く一...
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