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[社説]米中は衝突回避へ重層的に対話を続けよ

バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が米国で1年ぶりに会談した。衝突回避に向けて一定の共通認識を得たのは望ましいが、その中身は最低限にすぎず、甚だ心もとない。両国は安全保障、経済両面を巡る対立をコントロールしながら、各レベルで対話を積み重ねてほしい。

バイデン氏は会談で「誤解や行き違いがないようにするのが最も重要だ」と強調した。偶発的な衝突を最も懸念していることがわかる。習氏は「地球は米中両国を受け入れることができるほど広い」という言い回しで共存は可能だと訴えたが、米国とは必ずしも協力せず自力での発展に力点を置く。

既に「分断」が一定程度進んでおり、双方の観点は微妙に食い違う。それでもロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ問題で世界が揺れる中、両国首脳が長時間、幅広く意見交換した意義は大きい。

両国の軍事面の対話では、ハイレベルでの意思疎通の回復、両軍の「戦区レベル」指導者の通話などの方向性に言及している。一刻も早い意味ある対話再開が求められる。双方は人工知能(AI)の政府間対話、気候変動対策でも協力を強調した。

世界的に注目された台湾問題は双方が従来の主張を繰り返し、とりたてて新たな動きは見られなかった。バイデン氏は武力行使の可能性を放棄していない中国を念頭に、台湾海峡の一方的な現状変更に反対するとクギを刺した。来年1月にある4年に1度の台湾総統選に介入しないよう警告した。

中国側の報道によれば、習氏は「中国は最後には統一される。必然的に統一される」と訴えたという。総統選は各陣営の動きが激しくなっており、各方面の今後の動きを注視する必要がある。

経済・貿易問題で習氏は「米国の対中輸出管理や投資審査、一方的な制裁は、中国の正当な利益に損害を与えている」と非難した。米中対立の解消が簡単ではないのはわかる。ただ、それが世界の健全な成長の阻害要因になる事態は避けねばならない。

バイデン氏は会談後の記者会見で、会談を建設的かつ生産的だったと総括した。問題は今回、曖昧ながら醸し出された米中の緊張緩和という雰囲気が継続されるのかだ。そのために必要なのは、具体的で実効性を伴う措置を推し進めるための相互信頼である。

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