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[社説]収益改善バネに企業は将来投資進めよ

上場企業の業績が堅調さをみせている。円安の追い風や値上げの進展が収益を押し上げている。賃上げや設備投資など未来志向で企業がもうけを生かすことで、力強い経済の好循環につなげたい。

日本経済新聞社が東証プライム市場に上場する3月期決算企業の業績予想を集計した。金融を含む全体で2024年3月期の純利益は前期比13%増える見通しとなり、3期連続で最高益を更新する。増益率は9月集計時点から7ポイントの上振れとなっている。

けん引役は自動車だ。トヨタ自動車は円安で輸出採算が改善、北米を中心に利益率の高い車種が売れ、営業利益の予想を1.5兆円引き上げた。生産を制約していた半導体不足も解消されてきた。

値上げも増益の理由だ。日清食品ホールディングスは当初の減益予想から増益予想に転じた。製品やサービスに魅力があれば値上げが受け入れられると手応えを得た企業は増えているだろう。

内需では、経済活動の再開や訪日外国人客の需要を取り込む企業で堅調さが目立つ。野村総合研究所などデジタル化ニーズを取り込んだ企業の強さも目を引く。

気がかりなのは中国経済の減速が影を落とし始めていることだ。TOTOは中国向けの住設機器に急ブレーキがかかった。海運や商社も収益が鈍化してきた。国際商品市況の行方に留意したい。

企業間の差が開く局面だ。住友化学は主力製品が振るわず最終赤字に転落する。事業構造のもろさが顔を出したといわざるをえない。新興国の追い上げにも勝てる事業は何か、先を見越した設備投資や研究開発が欠かせない。

決算発表で来年の賃上げに言及する企業は多かった。コスト抑制よりも賃金上昇を前提にした経営への視線の変化であり、それには高い付加価値を生む事業を常に作り出さねばならない。賃上げが持続すれば消費を底上げできる。

株式市場では日経平均株価が33年ぶりの高値に近づいている。これに満足してはなるまい。PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業がなお多くある。積み上がった資金を将来の成長にどう生かすか、企業戦略が問われる。

価値を生み出すのは企業にほかならない。来年から少額投資非課税制度(NISA)が拡充され、資産形成へ家計の関心も高まる。企業が稼ぐ力を高め、家計も潤す流れを太くしていきたい。

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