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[社説]「自然」を経営課題の中核に

企業にとって動植物や土壌、水などは、事業を進めるのに欠かせない「自然資本」と位置づけられる。企業と自然のかかわりは、消費者や投資家がビジネスを適正に評価するための重要な経営情報ともいえる。経営陣は分析を深め、開示を進めてほしい。

国際組織の自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は9月に、環境の保護やリスク分析などに関する開示の枠組みを決めた。企業グループがどの地域のどんな自然資本を使っているか、その保全にどんな策を講じているかなどの説明を求める。

TNFDの枠組みに基づく開示は任意だが、世界の優良企業の多くが賛同を表明しており、早晩広がっていくとみられる。脱炭素に関する気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みと同様、日本企業も積極的に対応していってほしい。

先行事例はある。キリンホールディングスは環境報告書で、グループの主力商品「午後の紅茶」の茶葉を調達するスリランカの農園について、森林保全の状況を分析した。積水ハウスも住宅の原材料調達などについて、自然資源への影響を調べている。

自然資本の情報開示はサプライチェーン(供給網)全体への目配りが欠かせない。調達や製造の現場の実態を可能な限り直接、点検することが望ましい。それがグローバル企業の社会的責任であり、ブランド力の向上にも結びついていくのではないか。

投資家もまた、自然資本への企業の姿勢を厳しく評価しようとしている。英資産運用会社フィデリティ・インターナショナルは、企業が森林破壊をしないよう働きかけを強めている。2024年からは企業の対応を議決権行使基準に反映させる。

脱炭素と同じく、森林や水資源の保全など環境への配慮はコストが少なからずかかる。しかし、それはビジネスの質を向上させ、持続可能性を高めるために必要な投資だと考えたい。

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