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[社説]宝塚歌劇団の旧弊一掃する再調査に

宝塚歌劇団は生まれ変わることができるのか。劇団員の女性が死亡した問題に注目が集まっている。独立性に疑問の残る不十分な調査など一連の対応のまずさを巡っては、阪急阪神ホールディングス(HD)の責任も問われよう。

すでに公表した調査報告書と再発防止策には、批判が続出している。年内にも第三者委員会を設置し、再調査する方針だという。「伝統」や「芸事」に名を借りた人権軽視の体質を根底から改める契機にしなければならない。

歌劇団は14日の記者会見で、長時間労働を認めて謝罪する一方、女性に対するいじめやパワハラは「確認できなかった」とした。再発防止のために公演回数を減らすなどの対策を打ち出したものの、パワハラ撲滅への言及はほとんどなかった。

この結論に納得できる人は少ないだろう。時間外の労働時間を含め、遺族側の主張との隔たりはあまりに大きい。聴取できなかった劇団員もいた。遺族の代理人弁護士が「劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導した」と批判するのは当然である。

前回の報告書には、上級生による指導・叱責を「社会通念に照らして許容範囲」などと容認するような記述があった。歌劇団は以前から上下関係について厳しいルールが存在することで知られる。その背景に「宝塚は特別だ」というおごりはなかったか。

指導を劇団員に任せきりで、組織としてサポートする仕組みがなかったことも問題だ。自主性を重んじると言えば聞こえはいいが、要はガバナンスの不在である。

こうした点も含めて抜本的な見直しが必要だ。時代とともに組織のルールのあり方は変わる。文化や芸能の世界も例外ではない。新たに設置する第三者委は遺族側の声に耳を傾けつつ、丁寧な調査を尽くしてほしい。

歌劇団を運営する阪急電鉄をはじめ、阪急阪神HDはグループ全体のガバナンスに厳しい目が注がれている。肝に銘じてほしい。

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