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[社説]投資の裾野広げる情報開示と金融教育を

改正金融商品取引法が20日に成立し、上場企業が提出している四半期報告書が2024年4月から廃止されることになった。個人投資家の金融や投資に関する知識を底上げする「金融経済教育推進機構」の設置も決まった。

岸田文雄内閣は少額投資非課税制度(NISA)の拡充などを通じて、家計の資産形成を促そうとしている。市場関係者は新しい情報開示や金融教育の制度を、投資の裾野拡大につなげるよう活用してほしい。

岸田内閣は企業が長期の視点で経営できるよう、四半期開示義務の見直しを視野に入れていたもようだ。これに対して私たちは、四半期開示と経営の短期主義は無関係であり、開示の頻度を減らすことは市場の活性化や投資家保護の観点から問題が大きいと考え、強く反対してきた。

四半期開示の制度そのものが維持されたのは当然だ。報告書と重複が多い短信への一本化は、企業の実務負担を軽減する面で、一定の効果があるかもしれない。

しかし、今回の改正が情報開示への企業の姿勢を弱めたり、今後の四半期開示義務の拙速な廃止につながったりすることは、あってはならない。

新しい開示制度のもとで企業の責任は増す。

まず、開示情報の量を保つ必要がある。報告書は短信に比べ、事業リスクの説明や財務諸表の詳細などが、丁寧に記されている場合がある。どんな情報を短信に新たに盛りこむべきか、企業は綿密に検討してほしい。

さらに、情報の質を向上させることも重要だ。短信は法律に基づく四半期報告書に比べ、監査法人のかかわりが弱くなる懸念がある。四半期開示が短信に一本化されても情報の信頼性が落ちないよう、企業は内部統制などを一段と整備すべきだ。

もちろん、業績や株価に影響する出来事が生じた場合は、3カ月に一度の頻度にこだわらず、機動的な開示が企業に求められることは言うまでもない。

個人が開示情報を正しく理解して資産形成に役立てるには、金融リテラシーの向上が欠かせず、新設する教育推進機構が果たす役割は大きい。家計管理、生活設計など広く金融の知識を得られる機会が増えるよう官民で連携したい。中立的な立場で助言できる人材の養成も重要な課題となる。

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