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[社説]未来志向のルールで通信市場の活性化を

NTT法の改廃をめぐる議論が山場を迎えた。NTTの島田明社長は「法律は役割を終えた」として、廃止は当然と表明した。

一方、ライバル企業は法の廃止は「正気の沙汰とは思えない」(楽天グループの三木谷浩史会長兼社長)などと激しく反発する。

自民党内でも同法の段階的廃止を唱えるプロジェクトチーム案に対して、反対の声が上がる。

日本の通信が世界に伍していくにはスピード感をもった制度改革が欠かせない。今後の技術革新を先取りし、未来志向の枠組みをつくることが何より大事だ。

NTT法は1985年の旧日本電信電話公社の民営化にあわせて導入された。法律の柱は、新たに発足するNTTに「アナログ電話のあまねく公平な提供」と「電気通信技術の研究の推進」という2つの責務を負わせたことだ。

だが、その後の環境変化を考えれば、いずれも時代遅れではないか。通信の主役はメタル回線の固定電話から、データや画像、音声を一体で運ぶブロードバンド通信や携帯通信に移り、NTTの「加入電話」の契約者は激減した。

技術開発もNTTなどの巨大キャリアが牛耳る時代は終わり、今の主役は米アップルなどのメーカーだ。NTTに特別な役割を期待するのは現実的ではない。

こうした一連の変化や、欧米主要国でもNTT法に類する法律がすでに廃止された事実を踏まえれば、今後もNTT法を続ける意味は希薄と言わざるを得ない。

業界全体を律する電気通信事業法によって、ブロードバンド時代の「あまねく公平なサービス」の提供や、公正競争のためのルールを定めるのが本来の形だろう。

その際には急速な発展が予想される低軌道の衛星通信など新たな技術の可能性を見据えた、未来志向の制度設計が必要だ。

つい3年前には3社寡占による料金高止まりが批判された携帯市場の教訓も忘れてはならない。

NTT法の有無に関係なく、競争が停滞すれば、消費者利益は損なわれる。政府は市場の寡占化に先手を打ち、料金やイノベーションの競争が活発になるような措置を講じるべきだ。

外資規制については、NTTのほか通信や電力、運輸など基幹インフラ企業を対象に外為法で対応するのが妥当ではないか。規制を強めすぎて、「日本は閉鎖的」と見られるリスクにも留意したい。

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