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[社説]隔たり埋めプラ条約の合意を

プラスチックごみによる海洋汚染を防ぐ国際条約づくりが難航している。法的拘束力のある条約を目指すが、ケニアのナイロビで開かれた政府間協議では、条約内容の議論に進めなかった。

交渉期限となる2024年末までの合意は困難との見方も浮上している。プラごみによる海の汚染は深刻だ。各国は利害にとらわれず、実効性ある条約を求めたい。

経済協力開発機構(OECD)によると、プラごみの排出量は19年に3億5300万トンと、00年の2倍以上に増えた。50年には海に流出したプラごみの総重量が魚のそれを上回るとの予測もある。

意見の隔たりは大きかった。欧州連合(EU)やケニアなどは世界共通の削減目標を定め、プラ生産も削減が必要と主張した。一方、産油国はリサイクルの重視を訴えた。日本は各国の裁量を広く認める立場で、多くの国が条約に参加することを重視する。

対策はより早く着手した方が費用対効果が高い。国連環境計画の試算によると、過剰包装や使い捨てプラの廃止、リサイクルや再利用、代替素材への転換などで、40年までにプラごみ発生量を最大8割減らせるという。その場合の費用は年間約650億ドルで済む。

何もしないと、人の健康や環境への悪影響に伴う損失は年間3000億〜6000億ドルにのぼる。目先の利益に目を奪われず、世界は条約策定を進めるべきだ。

条約はプラごみが海や川などに流出するのを防ぐことだけが目的ではない。製品の生産から廃棄までを対象に規制することが国連環境総会で合意されている。問題解決に取り組むことは大量消費を享受した世代の責任でもある。

日本は容器包装プラの1人あたり廃棄量が米国に次いで多い。5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、40年までに新たに海に流出するプラごみをゼロにするという野心的な目標のとりまとめを主導した。今後、国際交渉や途上国支援などで主導的な役割を果たしてほしい。

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