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[社説]SNSの悪影響から子どもを守るために

SNSなどのインターネットを利用したサービスが子どもにどのような影響を及ぼしているかを解明し、運営企業に改善を求める動きが欧米で相次いでいる。日本でも若年層によるSNSの利用が増えており、心身への影響を把握して対策を急ぐ必要がある。

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11月上旬、動画アプリのTikTok(ティックトック)や動画共有サービス、ユーチューブなどの運営会社に対する調査を始めた。子どもの心身を守るために講じている措置について報告を求めた。

米国でも10月、画像共有アプリのインスタグラムやSNSのフェイスブックを提供する米メタが児童オンラインプライバシー保護法などに違反したとして、42州・地域の司法長官が提訴している。

SNSはコミュニケーションの新たな基盤となる一方で、プライバシー侵害やいじめといった弊害があると指摘を受けてきた。海外には心身の発達状況を勘案し、一定の年齢以下のネット利用者を法律で保護する地域が多い。適切な運用により子どもを守ろうとする動きは理解できる。

人工知能(AI)を活用し、利用者の興味を引くコンテンツを次々と表示する機能が高度化していることにも注意が要る。子どもが依存を強め、自分を周囲と過度に比較することで拒食症や自傷行為、自殺につながったとされる事例が欧米では報告されている。

NTTドコモのモバイル社会研究所の調査によると、日本でも小学校高学年のSNSの利用率は5割を超え、中学生になると毎日3時間以上使うとの回答が12%に達した。利用増で心身の健康を害する子どもが増えていないかなど実態の把握を急ぐべきだ。

調査には運営企業の協力が欠かせない。各社は子どもの利用者数や利用時間の推移といった情報を開示し、保護体制について積極的に説明する必要がある。現時点では国や言語ごとの投稿監視体制などに関する説明は乏しく、対応は不十分と言わざるをえない。

多くの運営会社は規約により利用可能年齢の下限を設けているが、ルールの適用を徹底していない事例も目立つ。日本ではこれまで若年層に焦点を当てた法規制の動きは乏しかった。運営会社が自主的に有効な対策を講じないのであれば、強制力を伴う措置も排除すべきではない。

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