東大と東工大、東アジア地域の前線性豪雨の強度の増加が人間活動による気候変動の影響を受けていることを解明
【プレスリリース】発表日:2023年11月25日
人間活動による温暖化が東アジアの夏季前線性豪雨を激甚化
——地球温暖化と前線性豪雨の強度の関係を初めて証明——
【発表のポイント】
◆東アジアの夏の大雨をもたらす前線は、偶然性や自然変動に影響を受けるため、近年の激甚化が、人間活動による温暖化の影響なのかは明確ではなかった。
◆過去60年間に観測された東アジア地域の前線性豪雨の強度増加に、人間活動による温室効果ガス濃度増加の影響があることを、気候シミュレーションを活用して初めて証明した。
◆前線性豪雨の影響を大きく受ける東アジアの大都市などにおいて、近い将来の気候変動への効率的な対応に必要な情報を提供している。
※イメージ図は添付の関連資料を参照
【発表概要】
東京大学 生産技術研究所の金 炯俊特任准教授らと、東京工業大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系 内海信幸准教授らの研究グループは、過去60年間に観測された東アジア地域の前線性豪雨の強度の増加が、人間活動による気候変動の影響を受けていることを明らかにしました。本研究では気候シミュレーションを利用することで、過去60年間に増加した東アジア地域の前線性豪雨に対する地球温暖化の寄与度を世界で初めて評価しました。今後、前線性豪雨の影響を大きく受ける東アジアの大都市などにおいて、近い将来の気候変動に効率的に対応するための情報として活用されることが期待されます。
最近、東アジア地域では、夏の間に激しい豪雨が経験されています。大雨は洪水や地滑りなど、人間社会に大きな脅威をもたらします。気候モデルを使用した将来気候のシミュレーションによれば、気温上昇により世界中で夏の雨の強度が変化すると予測されています。しかし、東アジアの夏の大雨は台風、熱帯低気圧、前線などさまざまなプロセスに起因し、特に夏の降水の40%以上を占めている前線性降雨に関する研究はまだ不十分です。前線は、偶然性や気候システムの自然変動(エル・ニーニョ等)に大きく影響を受けるため、過去の観測された変化が自然変動によるものなのか、人間活動による温暖化の影響なのかについては明確には明らかにされていません。
※以下は添付リリースを参照
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イメージ図
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添付リリース
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