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王毅外相「日中、前に進める用意」 上川外相と初会談

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【釜山=根本涼、田島如生】上川陽子外相は25日、訪問先の韓国・釜山で中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談した。9月の就任からおよそ2カ月半で初めて対面で協議した。経済対話の再開や東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出などについて意見を交わす。

岸田文雄首相と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は16日に米サンフランシスコで会談し、共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を再確認した。それから間を置かずに日中両外相が会い、関係構築の具体策を詰める。

王氏は会談の冒頭で「中日関係が健全かつ正しい軌道に沿って、前に向かって発展することを推し進めていく用意がある」と呼びかけた。

上川氏は「両首脳から示された方向性に沿って日中関係を発展させるべく緊密に連携していきたい」と語った。

日中首脳は閣僚級の日中ハイレベル経済対話について「適切な時期に再開する」と申し合わせた。2019年以来開いていない枠組みだ。経済の減速が目立つ中国側にも貿易・投資の拡大に向け期待があり、開催の時期を探る。

直近19年の経済対話は日中の両外相が議長を務め、日本側は農相や経済産業相、国土交通相、環境相らが参加した。戦略的互恵関係の視点に立ってマクロ経済政策や知的財産保護、気候変動などのテーマを扱った。

対立する項目も今回の外相会談の議題になる。上川氏は処理水に関し、中国による日本産水産物の輸入停止措置の撤廃を要求する。先の首脳会談でも前進しなかった案件で、専門家レベルでの議論を積み上げると確認するにとどまった。

王氏は23日の公明党の山口那津男代表との会談で「中国が独自に監視できる機会をつくってほしい」と言明した。習氏が処理水を「核汚染水」と呼ぶなど安全性の認識で溝は大きい。

上川氏は中国当局がスパイ容疑などで拘束した日本人の早期解放も求める見通しだ。中国側に改善の動きが見えなければ、日本企業の進出や投資の足かせになる。

中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置したブイに関しても日本政府は即時撤去を促している。首相は22日の衆院予算委員会で「日本自らが撤去する選択肢」に触れた。

上川氏が王氏と会うまでに2カ月半を要した状況は日中関係の距離感を映す。日本の外相が就任から中国の外相と初めて接触するまでの期間(一時的な兼任除く)を比べると、上川氏が01年の小泉政権発足以降で2番目に遅い。

これまでは就任後1カ月以内に対面や電話での接点を設けるケースが多かった。上川氏の前任の林芳正氏の場合は就任から8日後に王氏と電話した。

中国側の特殊な事情も絡む。王氏は秦剛氏の解任に伴い外相に復帰した。いまも党政治局員、党中央外事工作委員会弁公室主任を兼ねる。担務が増えたことでスケジュール調整が難しくなったとの指摘がある。

東・南シナ海で海洋進出の動きを強める中国と対話の機会を保つことは偶発的な衝突や対立の過熱を防ぐために必要だ。「軍事偵察衛星」の発射に及んだ北朝鮮への対処でも、中国に協調を働きかける努力が要る。

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