最後の一枚(3) 鬼海弘雄「PERSONA 最終章」より
最後の一枚(3) 鬼海弘雄「PERSONA 最終章」より
山形に生まれ育った鬼海弘雄の言葉には、強い東北の訛(なま)りがあった。その鬼海が語りかける言葉こそが、生涯にわたるテーマである独特な「肖像写真」を可能にした。
毎日のように浅草寺に出向き、参拝する市井の人々に声をかけては撮影をさせてもらう。境内を一日中歩き回っても、1人か2人しか撮らないと言う。鬼海には、撮るべき人、撮らなければならない人間がいる。だから出会えるまで待ち続ける。いったん撮ると決め…