中国の経済大国としての台頭は歴史的な転機を迎えている。過去半世紀に及んだ壮大な物語は幕を閉じつつあるのかもしれない。
中国は1960〜70年代の毛沢東時代に低迷したが、80年代に対外開放路線に転じ、その後の数十年で飛躍的な成長を遂げた。世界経済に占める中国の国内総生産(GDP)割合は90年の2%未満から2021年には18.4%へと10倍近くに上昇した。これほど急速に台頭した国はそれまでなかった。...
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金融の暗礁に乗り上げた途上国 マーティン・ウルフ
人々が自国の問題に注視するのは自然なことだ。しかし、より広い視野を持つことも大切だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、供給の抑制、ロシアによるウクライナ侵攻、インフレ率の高騰、金融引き締めなど、相次ぐショックが世界経済の大部分を揺るがせた。 なかでも、弱小国家とそこに住む人々が受けた影響は大きい。様々なショックは貧しい国々の経済発展、貧困緩和、さらには政治的安定に深刻な事態をもた
米欧首脳のインド接近は合理的 マーティン・ウルフ
敵の敵は味方だ。この考えに基づけば、欧米諸国がインドとの関係強化を目指すのは理にかなっている。かつて米国から入国を拒否されたインドのモディ首相をバイデン米大統領がワシントンで歓迎したのも、マクロン仏大統領がモディ氏をパリで温かく迎えたのも、将来中国への強力な対抗勢力になると予想される国との関係を深めるためだ。これは欧米の主要国にとって良い方策だろうか。答えは「イエス」だ。インドは実際、大国になる
制裁下のロシアで人民元の取引が急拡大
西側諸国による制裁に圧迫され、中国への傾斜を強めるロシアは、外貨準備や外国との貿易、および一部のリテール銀行サービスにおける主要通貨の1つとして人民元を採り入れている。 これによりロシアは、米ドルやユーロではなく人民元を準備通貨として採用する珍しい国となっている。しかし中国政府は前触れなく人民元を切り下げた過去があり、ロシア政府はリスクを抱えている。 人民元を国際通貨の地位に押し上げたいという中