有害な上司、実はどんな会社にも ピリタ・クラーク
あなたが20代前半で、職場のクリスマスパーティーに参加したとする。そこで上半身裸でクレーンから逆さ吊(づ)りにされたと想像してほしい。上司も加わり、面白がってあなたの胸を何度もたたいたとしたらどうだろう。 イリアス・エルカラズさんという若い男性が2020年、オーストラリアのメルボルンにあるガラス設置会社で大工見習いとして働いていた時の出来事だ。この動画がテレビで放送されると世界中で話題になった。
テックで変わる職場のカンパ集め ピリタ・クラーク
少し前まで職場でプレゼント代を集めるのはそれほど難しくなかった。 出産、結婚、退職する同僚がいれば、誰かがカードを用意し、カンパを集める封筒と一緒に社内を回ったものだ。 ここでいう「誰か」とは女性だ。ありがたがられるわけでも、昇進につながるわけでもない集金係を男性が担う光景を筆者は見たことがない。とはいえ、誰であろうと労はねぎらいたい。 いずれにしても、寄せ書きが終わり現金も集まればプレゼントが
人事評価見直しトップ人材の流出防げ ピリタ・クラーク
英国の鉄道資産管理会社ネットワーク・レールは自社サイトで「すべての人を大切にする」とうたっている。 スコットランドの公的医療制度やテーマパーク「レゴランド」の運営企業、そのほか多くの企業もすべての人を大切にしているという。 各社はこのスローガンを多様で包摂的な組織を育むという立派な志を示すものとして掲げている。 しかし簡潔な表現が常に全体像を説明するとは限らない。実際にはいつも一部の社員の成果
今は高くつく経費の不正請求 ピリタ・クラーク
先週のある1日の大半を通してフィナンシャル・タイムズ(FT)で最も読まれた記事はイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘についてでもなければ、ウクライナ侵攻や起業家イーロン・マスク氏やトランプ前米大統領に関する話でもなかった。 何かというと昨年、オランダ・アムステルダム出張にパートナーを同伴し、注文したコーヒー2杯とサンドイッチ2皿を経費として請求したサボルチュ・フェケテ氏という男性の記事だ。フェ
進化する空の旅、利用をめぐる誤解も ピリタ・クラーク
9月上旬、ロンドンへ戻る途中のイタリア・ミラノのマルペンサ空港でちょっとした経験をした。 保安検査場でいつも通りノートパソコンと液体をかばんから取り出そうとしたら、係員が大声で「ノー」と叫んだのだ。 係員は今や最新の検査機があるから、かばんから何も出す必要はないと説明した。 筆者は驚いて係員を見た。液体爆弾をソフトドリンクに見せかけて機内に運び込もうとしたテロ未遂事件を受け、100ミリリットル超
在宅勤務で変わるニーズ オフィス設計、見直しが必要
どの組織にも内部の人間には意味が通じるが、それ以外の人々には理解できない言葉がある。フィナンシャル・タイムズ(FT)も例外ではない。 英ロンドンのFT本社では「3時にナクファでね」とか「パタカはなぜいつもこんなに寒いんだ?」「ニュルタムはどこだっけ?」といった会話が何気なく交わされている。 というのも、オフィスのほとんどの会議室には通貨の名前がつけられているからだ(編集注、ナクファは東アフリカの
COP、意思決定妨げる不条理な仕組み ピリタ・クラーク
米連邦最高裁判所が判決を下す時、英議会が法律を制定する時、地方議会が予算を承認する時、いずれも採決は多数決で行われる。 ところが2カ月ほど先に200カ国近くが集まり、難しさを増す気候変動問題への対応を話し合う場では、意思決定にはるかに厄介な方法がとられる。全会一致だ。 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで11月末から開催される今年の第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)はこの点で
温暖化、終末論も否定論と同じく危険 ピリタ・クラーク
世界各地で記録破りの猛暑が観測された今年、筆者はよく耳にする疑問を気候科学者に投げかけている。 この異常な暑さは、いったん超えると後戻りできない重大な臨界点が近いことを意味しているのではないか。地球が取り返しのつかない未知の領域に突入し、温暖化に歯止めがきかなくなるのではないか。 筆者が取材した研究者の中に、記録的な熱波が直接の引き金となって世界の気候システムに劇的な変化が生じるとみる人はいなか
職場の「不快な同僚」という地獄 ピリタ・クラーク
職場で窓際に座っている人、おめでとう。自然光と屋外の眺望はどんなオフィスでも最も大切な特典のひとつだ。 カフェテリアや託児所、ジムも大切な設備だ。しかし、現代のオフィスには常に改善するのが難しい問題がある。それが自分以外の従業員だ。 うるさかったり、臭いが気になったり、そうでなくても不快な同僚が近くにいることは、長い間、我々と共にある呪いのようなものだ。筆者は在宅勤務の増加のおかげで、この状況は
在宅勤務の意外な実相 ピリタ・クラーク
米アマゾン・ドット・コムでは職場放棄。同じく米国のスターバックスやウォルト・ディズニーでは要望書を提出。米グーグルでは見直しを要求――。 これは新型コロナウイルス禍前なら耳を疑ったような会社の規定に対し、従業員が取った行動だ。その方針とは「週に最低3日は出社せよ」というもので、ディズニーは4日の出社を求めた。 柔軟に働ける新しい時代になったはずだが、筆者は企業がこれほど出社にこだわるとは思っても