ラガルド氏「大胆であるべきだった」(Lunch with FT)
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、レストランの中をいつものように優雅に歩いてきた後、驚くほど重いものが入った小さな白い紙袋を渡してくれた。 曇り空のフランクフルトは少し肌寒く、ラガルド氏は握手をする前に黒い革の手袋を外しながら「(地中海に浮かぶフランスの)コルシカ島の庭で採れたグレープフルーツで私が作ったマーマレードよ」と説明してくれた。 私はその贈り物で緊張がほどけた。これがラガルド氏
共和候補のスコット氏、大量の政治広告を準備 大統領選
米大統領選への立候補を表明している共和党のティム・スコット米上院議員と同氏を支持する団体は、今回の選挙戦で5000万ドル(約70億円)近くを政治広告に投入している。広告費は共和党候補者の中で最も多く、党内の候補者指名争いに向け、テレビやラジオなどでの戦いで好調なスタートを切ることになりそうだ。 政治広告調査会社アドインパクトのデータによれば、スコット氏の広告の大部分はレーバーデー(9月4日の祝日
製薬起業家ラマスワミ氏、共和の注目候補に 米大統領選
米大統領選の共和党指名争いに向けて、バイオテック起業家のビベック・ラマスワミ氏(38)の人気が急上昇している。半年前、「ウオーク(社会正義に目覚めた人や企業)な左派」と対決すると約束して選挙キャンペーンを開始した時、他の候補者は誰も同氏のことを気にとめなかった。 だが、ラマスワミ氏は一部の共和党予備選の世論調査で2位に浮上している。本能的な逆張り精神、執拗な選挙活動、そしてトップランナーであるト
トランプ前大統領、起訴で大統領選へ地歩固め
ドナルド・トランプ前米大統領は14日、新たな起訴に直面した。この5カ月間で4回目だ。 南部ジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事(民主党)が明らかにした直近の起訴内容は、ジョー・バイデン米大統領が僅差で競り勝った同州の2020年米大統領選結果を覆すために、前大統領が側近らと共に圧力をかけたというものだ。 前大統領は、法的なトラブルによって24年の米大統領選への戦いに集中できなくなる
不屈の特別検察官スミス氏、トランプ氏起訴を指揮
既視感のある光景だった。トランプ前米大統領とジャック・スミス特別検察官は3日、法廷で再び対峙した。昨年11月に任命されたスミス氏が前大統領の不正を追及し始めて以来、2回目の対面だった。今回二人が向き合ったのは、2020年大統領選の選挙結果を覆そうとする「犯罪計画」を企てたという罪を新たに問う首都ワシントンの法廷だった。 前回二人が顔を合わせたのは、前大統領が機密文書を不適切に扱ったとして起訴され
中国・王毅氏、「習思想」に忠実な強硬派 外相兼任
2013年の豪中外相会談。当時のビショップ豪外相は、北京語で揚々と開会の言葉を述べ始めた王毅(ワン・イー)氏を見て、全てがうまくいっていると考えた。だが、豪大使が渡してきたメモにはこう書かれていた。「これは非常にまずい流れだ」 中国政府が設定した東シナ海の防空識別圏(ADIZ)についてオーストラリア側が質問すると、王氏は公の場にもかかわらずビショップ氏に反発した。その後の夕食会では、テーブルを挟
チェコ出身作家クンデラ氏、旧ソ連の欧州文化分断を糾弾
1979年にフランス語で出版され、翌年に英語版が出た「笑いと忘却の書」のあとがきには、著者のミラン・クンデラ氏と米国の作家フィリップ・ロス氏との対話が出てくる。20世紀の西洋における文豪2人が、当時の冷戦による欧州の分断や、68年の旧ソ連によるチェコスロバキア侵攻について意見を交わしている。 同国生まれのクンデラ氏はこう語っている。「人間は自分が死ぬ運命だと分かっていても、国家には永遠の命のよう
ザッカーバーグ氏vsマスク氏 テック界のエゴが衝突
米メタ最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏と、ツイッターを買収したイーロン・マスク氏が6月に起こしたインターネット上の「スパーリング」を信じるなら、2人の起業家は近く米ラスベガスかイタリア・ローマでの「金網マッチ」で対決することになるだろう。 世界最高峰の総合格闘技団体UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)のダナ・ホワイト社長は、巨大テックの対決イベントを企画
顧客の不満から改革策を見いだす イケアグループCEO
業界を塗り替えたディスラプター(破壊者)がディスラプトされた時に何が起きるか――。 スウェーデンの家具大手イケアは1950年代から小売業界に革命を起こしてきた。郊外にある店舗に足を運び、家具選びのために迷路のような店舗を歩き回り、買った家具は自宅に商品を運んで自分で組み立てるよう買い物客を説得した。だが、ジェスパー・ブローディン氏が2017年に最高経営責任者(CEO)になるとすぐにイケアの顧客が
オランド前仏大統領、ウクライナ戦争「米大統領選次第」
ヒラメの切り身は口の中でとろけ、話題はフランソワ・オランド前仏大統領が強い決意と外国への介入に意欲を示した外交政策に移っていった。 2022年に出版された「Bouleversements」(「激動」の意)の中で、オランド氏はロシアのプーチン大統領と初めて会ったときのことを記している。オランド氏はプーチン氏の冷徹な意志、米国への敵意、北大西洋条約機構(NATO)の拡大に対する怒りが混ざり合っている