新アルゼンチン大統領、改革の失敗は許されない(社説)
南米アルゼンチンは次期大統領に自称「無政府資本主義者」のハビエル・ミレイ下院議員が就くことが決まり、いわゆる未知の水域に入った。南米諸国はこの20余年で最悪の危機に直面している。インフレが年率100%を超え、近年は政権主体が左派と右派で何回も入れ替わるなど政治が不安定だったアルゼンチンの国民は19日、テレビ出演で知名度を上げた風変わりな経済学者を大統領に選んだ。 今回の大統領選では南米でよく目に
インドでバックオフィス構築ブーム 人材争奪戦が激化
多国籍企業がIT(情報技術)技術の自社開発を模索するなか、インドでバックオフィス(間接部門)を構築する動きが相次いでいる。業界に詳しい専門家によると、こうした企業とインフォシスやタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)など同国ITサービス企業との間で「大規模な人材争奪戦」が起きている。 データ、クラウド、分析サポートなどを提供する企業の台頭でインドはソフトウエア・サービス大国の地位を確立した
ESGは新興国を救えるのか 南アからの問いかけ
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のニューズレター「モラル・マネー」11月22日号では、アフリカ大陸のESG(環境・社会・企業統治)の投資をめぐる課題について論じた。主な内容は以下の通り。 南アフリカのプラビン・ゴーダン公共事業相は先進国政府や投資家が進めているエネルギー転換がアフリカなどの発展途上国地域のニーズと隔たりが生じるリスクがあると指摘した。 ゴーダン氏はアフリカで初めて開かれたFTモ
イスラエル、相次ぐ債券発行で8900億円の戦費調達
イスラエルはイスラム組織ハマスとの戦闘の費用をまかなうため、私募債の発行で数十億ドルを最近調達した。しかし、投資を呼び込むために極めて高い利率を設定せざるを得なかった。 10月7日のハマスによる攻撃以降、イスラエルは世界の債券投資家から60億ドル(約8900億円)以上を調達している。これには3度の新規債券発行による51億ドルと6度におよぶ既存のドルおよびユーロ建て債券の追加発行、そして米国にある
インドネシア大統領 後継と新首都を巡る思惑と現実
インドネシアはかつての「非同盟運動」の中心的存在であり、1955年に西ジャワ州の主要都市バンドンで起点となるアジア・アフリカ会議を開催した。そのインドネシアが2023年8月、同運動の流れをくむBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)への新規加盟を辞退したことは驚きを呼んだ。拡大に走るBRICSは「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の擁護者を自任している。 【関連記事】世界の5
イラン、乖離進む政府と世論
筆者が自然発生的に出てきたパレスチナ支持集会を初めて目にしたのは20年前、ロンドンで修士課程に在籍していた時だった。当時、欧州の学生たちがこれほどパレスチナ人への熱烈な支持とイスラエルへの批判をあらわにすることに驚いた。 筆者の出身国であるイランは、パレスチナの解放とイスラエル国家の壊滅を優先政策に掲げる神権政治(編集注、統治者が神の代理人として絶対権力を主張して支配する政治形態)体制をとってい
インド、人工降雨が頼みの綱 深刻な大気汚染で
インドで深刻化している大気汚染の改善が急がれる中、デリー首都圏政府の科学者チームがスモッグを減らす画期的な試みとして、人工的に雨を降らせる計画を取りまとめた。 計画では、航空機を使って雲に塩またはヨウ化銀を散布し、雨粒の形成を促すという「クラウド・シーディング(雲の種まき)」の手法が用いられる。同計画の推進者らは、汚染された空気が人工的な雨で洗い流されることを期待している。 デリー首都圏政府は、
世界の5大経済国入りを インドネシア大統領の野望
インドネシア大統領のジョコ・ウィドド氏は先を急ぐ男だ。多数の閣僚とお抱え料理人、そして100人の企業トップを伴い、同氏はボルネオ島(カリマンタン島)の熱帯雨林のど真ん中に足を運んだ。この地に新首都を建設するという大胆な計画の視察のためだ。 38度の熱暑下、「ジョコウィ」の愛称で知られるジョコ氏はあわただしいスケジュールで、ジャングルを切り開いた土地の起工式に臨んだ。空港、学校、2つの病院、ホテル
バングラ縫製業界、最低賃金上げに不満 抗議で操業停止
バングラデシュの縫製業界団体は西側の大手衣料ブランドが同国製の縫製品に対し「倫理的な」対価を支払っていないと批判した。世界2位の縫製品輸出国であるバングラデシュでは、最低賃金の引き上げ幅をめぐる抗議運動から工場の操業停止が相次いでいる。 バングラ政府は7日、縫製工の月額最低賃金を2018年に設定された8000タカ(約1万1000円)から1万2500タカに引き上げると発表した。 これに対し一部の労
イスラエル大統領、ガザ「空白状態のままにできない」
イスラエルのヘルツォグ大統領は、パレスチナ自治区ガザを権力の空白状態のままにできないとの考えを示した。イスラム組織ハマスが再び台頭することを阻止するため、当面は「極めて強力な部隊」を駐留させる必要があるとみている。 ヘルツォグ氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、イスラエルとハマスの紛争が終結した後のガザ統治を巡り、多くの案を議論していると明らかにした。米国のほか、イスラエルの