EU環境政策に新トップ 前進か停滞か、COP28が試す
オランダ出身のウォプケ・フークストラ氏が10月初め、欧州連合(EU)の気候政策責任者に就いた。高い目標を掲げて世界の環境政策をリードしてきた従来路線の継承を訴えるが、石油会社での勤務経験があり、オランダ財務相として航空会社を支援したことから、脱炭素に慎重ではないかという疑念が生まれている。まずは11月末から始まる第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)で成果を上げられるか、手腕が試
CCSのコスト、当面は水素発電より安く 審議会・近藤委員
二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留するCCSと、燃料などの脱炭素で活用が期待される水素。それぞれの事業化を後押しする法案を2024年の通常国会に提出すべく経済産業省で具体策の検討が始まった。当面の火力発電由来のCO2排出削減に向けては、水素を燃料に使うよりCCSの方が低コストですむという試算も示されており、CCSは産業の脱炭素を進めるゴールキーパー役との位置づけになりそうだ。 NIKKEI
太陽光パネル4倍計画に疑問符 EU補助金「不十分」
欧州で太陽光パネル産業を復興させる動きが出てきた。欧州連合(EU)は2030年までに域内の生産量を4〜5倍に引き上げる目標を掲げ、工場への補助金も緩和した。ウクライナ危機を契機に、中国に供給を依存するリスクが意識され、エネルギー安全保障の強化を目指す。ただ業界関係者は現在の政策は不十分と指摘し、資金面に的を絞った政策を望む声が出ている。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家やジャーナリストにグロ
EU、ESG評価を認可制に 脱炭素投資の透明性向上へ提案
欧州委員会はサステナブル(持続可能な)経済への移行に向けた資金調達を後押しする金融政策パッケージの最終版を公表した。ESG(環境・社会・企業統治)評価に認可制度を導入する案を示し、持続可能な技術か曖昧な分野に投資する際の勧告も出した。脱炭素には年間約7000億ユーロ(約110兆円)の投資が必要になる見込みで、透明性を高めて投資を呼び込む。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家やジャーナリストにグ
銀行に取引先の環境調査指令 EU、24年にも発効
欧州議会は「コーポレート・サステナビリティー・デューデリジェンスに関する指令(CSDDD)案」を可決し、欧州で活動する大企業や金融機関は気候変動の国際枠組み「パリ協定」に沿った気候移行計画が義務付けられる見通しとなった。大企業はサプライチェーン(供給網)全体の温暖化ガス排出量「スコープ3」を削減する必要がある。銀行も対象となり、融資先の調査を通じて幅広い企業で環境・人権対応が進みそうだ。 NIKK
水素支援金、24年度に導入を 経産審議会・近藤委員
政府は5月末をメドに水素基本戦略を改定する。2040年に現在の6倍に当たる1200万トンを確保するといった目標を盛り込む方針だ。ただ、関連企業に投資を促すには、将来の価格や量に対してさらに精緻なロードマップを示す必要がある。まずは価格面のメドを企業が立てやすくするため、24年度に既存の燃料との価格差を縮める費用支援をスタートさせるべきだ。 NIKKEI GXでは専門家やジャーナリストにグローバルな
EU、新たな環境調査を義務化 金融の一部除外に批判
欧州連合(EU)は近く欧州議会で、企業に取引先などバリューチェーン全体で環境や人権に配慮するように求める「コーポレート・サステイナビリティ・デューデリジェンスに関する指令(CSDDD)案」を採決する見通しとなった。大企業は温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」に沿った移行計画を求められる。ただ猶予期間が長く、一部の金融機関が対象外になった点には批判も出ている。 1.5度目標への移行計画求める 4月
洋上風力「投資ゼロ」下の300GW合意 北海サミット
ドイツや英国、フランスなど欧州9カ国は2050年までに北海で洋上風力の発電容量を3億キロワット(300ギガワット)に引き上げることで合意した。足元の欧州全体の導入量に比べて約10倍の規模となる。洋上でグリーン水素を一貫生産する構想も打ち出した。ただ資材コストの上昇などで、22年は欧州で洋上風力の投資が1件も決まっていない。目標達成には資金の呼び込みやサプライチェーン(供給網)の整備が課題となる。
合成燃料は現実解か 満タンには3万円、ガソリンの1.5倍
2035年を目指して欧州連合(EU)が進める自動車の脱炭素で、ドイツが推す「合成燃料」が認められることになった。電気自動車(EV)への急激な移行を警戒する石油業界や独自動車業界の声に配慮したかたちだが、合成燃料の価格はガソリンよりも5割高いとの試算がある。満タンにかかる費用は210ユーロ(約3万円)。脱炭素の現実解となるかはまだ読めない。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家やジャーナリストにグ
グリーンウオッシュにEU規制案 企業に外部審査義務付け
うわべだけの環境配慮をアピールして顧客や投資家を欺く「グリーンウオッシュ」に歯止めをかけるべく欧州連合(EU)がルール整備に乗り出した。このほどEU指令案を公表し、製品が本当に環境に優しいのかどうか、専門機関のチェックに基づく科学的根拠を示すよう企業に義務付けるとした。「脱炭素」の取り組みが企業の重要戦略となるなかで、情報開示のあり方にも焦点が当たり始めた。 NIKKEI GXでは海外在住の専門家