工場の熱源に水素活用 3度目の燃料転換、東京ガスが支援
工場で金属の溶融や乾燥に使う工業炉の水素転換が始まった。東京ガスは2023年度内に水素用バーナーを7種類に増やし、工業炉で使われる全ての温度帯をカバーする。東邦ガスや岩谷産業も水素用バーナーを発売した。これまで工業炉は石炭から石油、天然ガスに燃料が転換してきた。今後は水素転換が進む見込みだが調達できる量が限られる。東ガスは天然ガスと水素の両方を使える機器を発売し、移行期に対応する。 自動車業界の
「削減貢献」見える化68社 野村アセット、投資判断に活用
製品やサービスの提供により、社会全体の温暖化ガス排出量をどれぐらい削減できたか。この考え方を数値化した指標「削減貢献量」を算出し、開示する企業が増えてきた。4月に開いた主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合の共同声明でも言及され、関心が高まる。一方で信頼性に対する懸念も完全には払拭されていない。削減貢献量を実際に活用する企業の事例から現状と課題を連載で探る。 成長力を評価する指標 「環境
バイオマス発電に「隠れ排出」規制 燃料輸送由来も加算
再生可能エネルギーの一つ、バイオマス発電が岐路を迎えている。発電時だけでなく、燃料輸送などに由来する温暖化ガスの「隠れ排出」も勘案して環境負荷を計算する新たな規制が始まった。化石燃料を使う場合と排出量が大差ないケースもあるとされ、選別が進む見通しだ。 火力平均比7割以上の削減要求 バイオマス発電に使う燃料は、生ゴミなどのほか農業残さや木質チップ、ヤシ殻など多種多様だ。海外から輸入するものも多く、
炭素クレジットで株主優待 イオン、農業の取り組み共有
イオンが子会社での農産物栽培を通じてカーボンクレジットの創出を始めた。まずはトマト栽培に使う燃料にバイオマスを採用し、つくったクレジットは株主優待に活用する。低炭素の生鮮品販売などと合わせて消費者や投資家に環境への取り組みに参加してもらう狙い。自社の温暖化ガス排出量をオフセット(相殺)するにとどまらないクレジットの多様な使い方が出てきた。 ギフトカードなどから選択、76人が利用 イオンギフトカー
「水田クレジット」300億円の潜在力 稲作でメタン抑制
稲作で温暖化ガスの排出枠を生み出す「水田クレジット」が動き出す。政府がクレジット創出方法として認定したのを受け、企業が相次いで関連事業に参入する。農地を使った温暖化ガス削減の潜在力は森林の4倍にのぼり、中でも水田クレジットは300億円以上の価値を生むとの試算もある。クレジットの需要拡大が確実視されるなか、新たな供給源に育つ可能性がある。 「中干し」延長でメタン抑制 農林水産分野は二酸化炭素(CO
CO2フリーのアンモニア、「光」で合成 東大・西林教授
脱炭素燃料として注目されるアンモニアで、製造時に二酸化炭素(CO2)を出さない合成法の開発が進んでいる。東京大学の西林仁昭教授は化石燃料に頼らず「空気、水、光」から作る手法に挑んでいる。大規模設備を必要としないため、場所の制約を受けずに製造できるところも利点だ。日本発の技術として新燃料の普及につながる可能性を秘める。 常温・常圧での合成 2022年12月、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ
解剖CFP 全過程の9割に「実測値×係数」、Uアローズ
原材料調達から廃棄に至る全過程での二酸化炭素(CO2)排出量を表示するCFP(カーボンフットプリント)を巡り、政府は近く算定指針をまとめる。指針作りのプロセスで示された方向性を踏まえ、セレクトショップ大手のユナイテッドアローズはカットソーで算定を実施した。海外の生産委託先とも連携し、総排出量の約9割に相当するプロセスで単なる見なし計算ではなく実測値に係数をかける手法を使ったのが特徴だ。 CFPを巡
ブルーカーボン、7.8万円 高値でも買う商船三井の計算
海の藻などに二酸化炭素(CO2)を吸収させて創る「ブルーカーボン」のクレジット(排出枠)が値上がりしている。直近の平均取引価格は1トンあたり7.8万円。活用できる場は限られるにもかかわらず、再生可能エネルギーの活用に由来する「Jークレジット」の20倍以上の水準だ。購入した商船三井などの狙いは何か。 ブルーカーボン 藻などの海洋生物が光合成により吸収する炭素を指す。海底に泥などとして長期貯留される。
炭鉱拒否でも石炭輸出拡大 オーストラリアに2つの顔
オーストラリア政府が、北東部で計画されていた炭鉱開発について不認可の決定を下した。2022年に成立した労働党のアルバニージー政権は脱炭素目標を法律で義務化するなど、これまでも気候変動対策に積極的な姿勢をみせてきた。環境派は勢いづくが、輸出が好調な石炭産業の本格的な縮小に政権が踏み込むとの見方は少ない。 環境法に基づく初の阻止 「人々の力が新たな炭鉱を阻止した」。環境保護団体のオーストラリア自然保
アスクル、4000品目に独自環境スコア 低炭素品開発促す
ネット通販大手のアスクルが、商品ごとに独自の環境スコアを算出して通販サイトに表示する仕組みを始めた。対象はメーカーがアスクル向けに開発したオリジナル品など。文具や家具、工具など4000品目近くがある。二酸化炭素(CO2)排出量の算出も準備中だ。企業や消費者など買い手が環境負荷の少ない商品を選べるようにして、メーカーが低炭素品を開発するのを後押しする。 排出量の8割は仕入れた商品 小売業のアスクル