TCFD開示に「効率生産」の効果 小野薬品が算出
小野薬品工業は気候変動による事業機会の財務影響額を開示した。エネルギーの活用効率が高い生産手法を導入し、2030年までに原材料費が累計23億円減ると見積もった。気候変動の影響開示は炭素税などのリスクに重点が置かれてきたが、事業機会を算出する動きが広がる可能性がある。 生産法変更に当局の許可必要 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、気候変動に関連するリスクや事業機会を評価
スコープ3削減へ共同配送 武田薬品、鉄道で
武田薬品工業はサプライチェーン全体の二酸化炭素(CO2)排出量「スコープ3」の削減に向け、鉄道での共同配送に乗り出す。まず武田薬品と同様に三菱倉庫に輸送を委託している製薬企業や薬の輸入業者と交渉し、業界内に拡大する考え。温度管理ができるコンテナを使い、医薬品の流通で定められた基準に対応する。これまでトラックで共同配送してきたが、鉄道にも輸送手段を広げCO2排出量を一段と削減する。 モーダルシフト
住友商事、アンモニア燃料の船 日本郵船系などと建造
住友商事は日本郵船子会社などと共同でアンモニアを燃料に航行する船舶を建造すると発表した。10〜15隻建造し、アンモニアと重油を切り替えて使う燃料エンジンを搭載する予定だ。船舶は銅製品の輸送で用い、温暖化ガス排出量削減につなげる。 日本郵船子会社のNYKバルク・プロジェクト(NBP、東京・千代田)、大島造
浮体式風力のノルウェー企業に出資 商船三井
商船三井は、浮体式洋上風力発電技術を手がけるノルウェーのOdfjell Oceanwind(オドフェル・オーシャンウインド)に出資したと発表した。 株式の取得額は非公表。オドフェル・オーシャンウインドは浮体設計技術 「Deepsea(ディープシー)」に強みがある。過酷な海洋条件でも15メガワット以上の風車を設置できる。同社は既に関西電力などと協業を発表しており、商船三井の出資で開発を加速する。
LNG燃料船をアンモニア仕様に 日本郵船、24年竣工
日本郵船は液化天然ガス(LNG)燃料で運航するタグボート(けん引船)を、アンモニア燃料仕様に切り替える改造工事を始めたと発表した。グループ会社が東京湾内で運航していたタグボート「魁(さきがけ)」のエンジンや燃料タンクを入れ替え、2024年6月をメドに竣工する。アンモニアは燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生
CFP算定支援、素材データ1.5万件で DNP・長瀬産業
大日本印刷(DNP)と長瀬産業は化粧品・大衆薬を対象に、原材料調達から廃棄・リサイクルまでの温暖化ガス(GHG)排出量を示す「カーボンフットプリント(CFP)」の算定を支援するサービスを始めた。DNPは約1万種の包材、長瀬産業は約5000点の化学品の排出係数を持つ。大量の素材データ活用によりCFP計算の手間が省け、算出する企業が増える可能性がある。 係数では精緻に算出できず 化粧品や大衆薬のCF
リサイクルは事業者負担 EU循環経済規制、繊維から読む
欧州連合(EU)が循環型経済に向けた規制を相次いで導入している。2008年に廃棄物に関する指令を出したのを皮切りに、直近ではリサイクルを前提とした設計を求める規制やアパレル事業者がリサイクル費用を負担する指令を提案した。日本国内の制度にも影響が出る見通し。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の内藤純マネージング・ディレクター&パートナーに規制導入で先行する繊維産業から見たEUの動向を聞
「超臨界」の水でプラ分解 海洋機構、廃液出さず
国立研究開発法人の海洋研究開発機構が高温・高圧の水でプラスチックをリサイクルする技術を開発している。ヒントにしたのは海底で噴出する熱水だ。高温・高圧下におかれた超臨界の水は、状態によってアルカリ性や酸性のようになる性質を利用する。実用化すれば廃液を出さずに、プラスチックを循環する仕組みを作ることができる。 高温・高圧下で性質変化 海洋機構は信州大学と共同で、水による樹脂の分解を研究している。ベー
三井E&S、工場に水素供給設備 大型船舶エンジン向け
三井E&Sは大型舶用エンジンなどに水素を供給する設備を自社工場内に建設したと発表した。子会社の加地テックの圧縮機を採用し、機械を密封する技術を用いて高い圧力に対応した。1時間あたり1000N立方メートル(ノルマルリューベ=標準状態での気体の体積)の水素を供給できる。 舶用大型ディーゼル機関や産業機械、圧縮機を生産し
ペロブスカイト、中国で量産ラッシュ 製造装置の需要増
液状の材料を薄く均一に塗布する装置「スリットコーター」の開発と製造を手がける「DataMaker(江蘇迪塔鎂克科技)」がシリーズAで1000万元(約2億円)規模の資金を調達した。源来資本(FountainBridge Capital)が単独で出資した。 DataMakerは2017年からペロブスカイト太陽電池向けスリットコーターの開発と製造を始め、21年には江蘇省太倉市に生産拠点を建設した。現時